March 31, 2005

子供受け

母となるわずかに前まで私は高校生、何より自分のことで精一杯な思春期を謳歌していた為、親戚の幼子はもとより犬猫にまでそっぽをむかれるレベルで弱者から慕われることがなかったのだった。一方で当時から子供向け英語教室を開くなど曲がりなりにも教育者という立場で活動していた母は子供という子供、犬という犬、猫という猫を一様に、一瞬にして手懐けるプロであった。私はそんな母の神業を前に、何かしら歯痒さを味わいながらも最後にはいつだって素直に、幼い子供にはきっと人間の器の大きさを瞬時に見抜く特殊な才能があるのに違いないと、自分の未熟さを省みていたのであった。母は確かに時折ずぼらで、時折下品なギャグを言う決して完璧とは言えない大人ではあるが、それだけにいつも正直で誰とでも対等である。私は母のそういう面を尊敬していたし、そんな母に比べると私はかなり虚栄心が強くまた基本的に私と言えば猜疑心の塊であるという事実を認識していた為、純粋な子供にはきっと私のそんな部分がはっきりと抽出されて黒く見えているのに違いない、と
思っていた。

そんな私が一児の母となってから約3年、あれよあれよで気付けばめっきり近所の子供受けするようになった。より野性の勘を働かせているはずの犬猫ですら、出会ってたちまち私に懐くようになった位である。いったい何がどうなったと言うのか。一言で言ってしまえば、チョロイぜ小動物、というのが今現在の正直な感想である。そもそも子供という生物はかつて私が考えていた程に大人を見抜いているかというと、決してそうではなかった。むしろイチ親として不安になる程、大人の表面的な優しさに疑うことなくコロっといくものである。より本質を見抜こうとするのは子供よりも大人の方で、現に「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを何か恐いと感じるのはもっぱら子供より母親であることが多い。
従って子供に慕われる為には、精神修業なんかに精を出すより何より、このヒトは優しい人だよ、理解してくれる人だよ、という明るいイメージを、初めて会ってすぐの段階で印象づけることが第一である。

それを間違いなくクリアするには、まあまあ私なりに発見したちょっとしたコツなんかもあるのだけれども、でもでも簡単に人に教えるのはもったいないので結論:また今度。

投稿者 Akiko : March 31, 2005 11:44 PM | トラックバック